チャールズ(チャック)・コルソン氏(元米大統領特別顧問)が4月21日、脳出血後の合併症のためバージニア州の病院で死去、80歳。
69年から73年までリチャード・ニクソン元米大統領の特別顧問を務めた。大統領辞任のきっかけになったウォーターゲート事件の捜査過程で発覚した別の事件で司法妨害の罪を認め、収監された。「邪悪の天才」と呼ばれるなど非情なことで知られた。
大統領のために「政敵リスト」を作成、手段を選ばない冷酷な側近と恐れられた。秘密工作集団「ホワイトハウス鉛管工」を組織、ベトナム戦争をめぐる機密文書『ペンタゴン・ペーパーズ』をメディアにリークした人物の信用失墜を狙い、精神科医の診察室侵入事件を指揮した。72~74年のウォーターゲート事件で起訴された7人「ウォーターゲート・セブン」の1人だった。
73年にキリスト教に回心した後、1年から3年の実刑判決を受けアラバマ州マクスウェル刑務所に服役した。釈放後は、受刑者をキリスト教によって更正させる「プリズン・フェローシップ」という団体を設立、その代表に就任するなど、キリスト教右派の伝道者となって影響力を維持した。
93年には宗教関連で活躍したとして「テンプルトン賞」を受賞した。同賞は高額の賞金で知られるが、コルソン氏は自身の活動報酬と同様にプリズン・フェローシップの資金とした。
米聖書協会のラマール・ヴェスト会長兼CEOは、「今日、世界は1人のキリスト教政治家、囚人への献身的な奉仕者、人生を変えるという神の業の強力な実例を失った」と語っている。(CJC)