キューバでがんの治療を受け先週ベネズエラに帰国したベネズエラのウゴ・チャベス大統領(57)は、同国国営放送に出演し、イエス・キリストが死から救い、ベネズエラ国家のために奉仕し続けることを可能にしてくださるように願っていることを伝えた。10日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
英ガーディアン紙によると、ローマカトリック教徒であるチャベス大統領は復活祭前に自宅で声を出して泣き、「イエスよ、あなたの王冠を私に授けてください。あなたの十字架、あなたの茨を私にも与え、私も同じ血を流すようにしてください。しかし私に命も与えてください。まだこの国と国民のためにするべき多くのことが残っているからです。どうか私の命をまだ奪わないでください」と十字架に架けられたイエス・キリストの像の前で懇願したという。
がんを患ったチャベス大統領は「以前にも増して信仰を持つようになりました。人生はハリケーンのようです。数年前から私の人生はもはや自分だけの人生ではない人生となりました。改革の道がたやすいとは誰が言えるでしょうか?」と述べたという。
チャベス大統領の正確な病状は公的には明らかにされておらず、どの程度容態が悪化しているのかは定かではない。しかしながら、情報筋によると、昨年骨盤から大型の悪性腫瘍を手術で取り除いたという。さらに最近がん治療のための放射線治療を継続的に受けており、治療後テレビに出演出来るほどまで容態が回復したという。
先週チャベス大統領は自宅でロザリオを身に付けながら、両親の愛と支援に感謝を表したという。チャベス大統領が今後どの程度政権に携わることができるかにも懸念が生じている。チャベス大統領自身は治療から回復し、時期政権に向けた選挙運動を行う準備ができているとしている。チャベス大統領は1999年以来同国大統領として政権を握ってきた。
10月に行われるベネズエラ大統領選の対抗馬ヘンリケ・カプリレス氏はチャベス大統領の迅速な回復を願うと伝える一方で、チャベス大統領がイエス・キリストはアンチ資本主義者でチャベス大統領と同様の左翼リベラル派であると伝えていることに対しては批判している。カプリレス氏は先週の受難週にツイッターで「この聖なる週に私たちは今一度キリストは社会主義者でも資本主義者でもないことを覚えるべきです」と伝えた。
チャベス大統領は資本主義を批判しており、ブッシュ前米大統領については「この宇宙に存在する最も邪悪な存在」として明白な嫌悪感を示し、ラテンアメリカの米国からの独立性を高める中南米カリブ諸国共同体の結成のための政策を推進してきた。オバマ米大統領には「社会主義陣営にいらっしゃい。一緒に『悪の枢軸』と戦おう」と発言していた。
チャベス大統領の病状への懸念が生じているにもかかわらず、先月の投票結果では次期大統領選においてチャベス大統領は対抗馬のカプリレス氏に16ポイントリードしていることが示された。