ローマ教皇のベネディクト16世は5日、ローマカトリック教会の根幹をなす教えに反して女性司祭を任命しようとする動きを非難した。6日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
聖金曜日前の5日、昨年女性司祭を任命すること、従来の司祭の独身制に関して挑戦を投げかけることを宣言していたオーストリアの聖職者らに対し、直接に非難する異例の警告を説教の中で伝えた。
2005年に教皇に任命される前、ベネディクト16世は「教会の改革は不従順の道でしょうか?」と疑問を投げかけ、女性の司祭任命に反対する立場を明確に示していた。1994年に前教皇のヨハネパウロ2世はカトリック教会が女性司祭任命に反対するのは「神性なる法律」の一環であるとしていた。ローマカトリックでは、最後の晩餐の際にイエス・キリストが12人の男性だけを弟子として選んでいたことから、司祭としては男性のみが任命されるものであるとしている。
司祭任命を女性にも可能にすることについてベネディクト16世は「本当の革新のための前提条件としてキリストの形を保つのか、あるいは個人的な嗜好や考えによって教会を別のものに変化させようとしているのでしょうか」と疑問を投げかけた。
オーストリアのカトリック教会最高指導者シェーンボルン枢機卿の前代理人のヘルムート・シュエラー氏が率いるカトリック聖職者の団体は、女性も教会内で司祭となることができるべきだとこの数年間要求を投げかけていた。同グループはオーストリアのカトリック聖職者の10パーセントを占め、公的な支援も受けている。シュエラー氏は今回のベネディクト16世の発言を受け「私たちは教会の教えは変化するものと信じています。数世紀の期間にわたって教会の教えは変化してきました。将来的に女性司祭が認められるようになることに希望を置いています」と述べた。
ローマカトリック教会では、オーストリア、ドイツ、アイルランドおよび米国などにおいて数十年間にわたって、カトリック教会の保守的な教義に関して変革を求める要求がなされてきた。一方教皇庁では、これまで数十年間続けられてきた女性司祭任命の要求について、一度も認める立場を示したことはないままとなっている。
2010年には、オーストリア国内のカトリック教徒数は8万7千人以上の減少を示した。同団体によると、カトリック教会聖職者による性的なスキャンダルが継続的に生じていることなどが、カトリック離れを促している主たる理由に挙げられるという。またオーストリアの同団体は、カトリック教会が女性司祭を容認し、結婚を認めることで、プロテスタント諸教会とも交わりが深くなり、離婚や再婚をしたカトリック教徒が戻ってくることにもつながると指摘している。