南三陸町志津川の津波で流された跡地に、クリスチャンセンター南三陸町「愛・信望館」の仮設設置が完了した。仕上げまではあと一カ月ほどかかるという。第一センターは一般的な総称名として「クリスチャンセンター南三陸町」、特定の名称として「愛・信望館」となるという。特定名称は、地元の人たちからの待望であり、期待を背負っての名称であるという。
「南三陸町を支えるキリスト者ネットワーク」世話人でキリスト聖協団西仙台教会牧師の中澤竜生氏は、「もちろん私たち個人には何の力もありません。ですが、イエスさまを信じて、今こそ聖書の教えにそって自ら証を立てるクリスチャンの決心の表れでもあり、聖書の知らない方々へその素晴らしさを身をもって宣証提供する場でもあります。地域を立てあげるためのクリスチャンの働きと個々の寄り添うクリスチャンの働きが求められます。是非そのような働き手が集まりますようお祈り下さい」と述べている。
これまで同ネットワークで地元の人々への支援を通じて関係を深めて来たことを通じ、地域の人々の中からも地域の必要な情報を提供し、心のケアを行うセンターの設立が要望されていた。第一クリスチャンセンターは、現地の人がクリスチャンセンターの構想を聞き、土地を無償で提供してくれたという。第一クリスチャンセンターは自炊の設備があり、宿泊、カウンセリングセンター、子どもの集会など多目的に利用される予定であるという。
震災後の南三陸町は、人口が1万7千人から1万1千人に激減し、狭い仮設住宅には独り暮らしの孤独な高齢者が多く住んでいる他、子どもの教育も先の見えない状況となっており、震災の傷が癒えずに抱えている子どもも多く存在するという。
仮設住宅で暮らす人たちの間には将来に対する希望が持てず、また収入源や将来を語る夢もない状態が続いている。元々漁業の町であった南三陸町の水産業の復興は進んでおらず、働き場所がないことが最大の課題となっているという。
震災から1年が経過したが、年齢を問わず自殺者は急増しており、先行きが見えない不安がますます高まっている。
一方で震災から1年を機にボランティアが激減しており、仮設住宅に移った被災者との接点は少なくなっている。またボランティア団体の売名行為や被災者のニーズにそぐわないボランティア活動、支援の無理強いにより、かえってボランティアが被災者を苦しめることも生じているという。
中澤氏は本来あるべきボランティアの姿として、被災者の必要なときに物資でも心でも必要なものを届けられるべきであり、現地に余計な気遣いをさせるべきではないと述べており、中澤氏らが南三陸町を訪問する際は、訪問前に必ず一方を入れ、その時に必要な支援を届けるようにしているという。
「愛・信望館」の他にも、南三陸町歌津地区にも来年に第二センターの建設を予定しており、こちらでは人材宣証育成やキャンプ場も含まれる予定であるという。地元の人がセンターを活用して、その中からクリスチャンとなる人々が生じるように祈りを求めている。
被災地でのクリスチャンセンターを設置することで、地域の人々との絆が強化され、支援はもちろんのことキリスト教会のイベント、その他セミナーやカウンセリング、ボランティアの人々の宿泊場を提供していくことができ、被災地でのキリスト文化の提供やクリスチャン宣証活性化が期待されている。