米国で3月23日に公開されたスーザン・コリンズ原作のアクション映画「ハンガー・ゲーム」が、2週連続で全米ナンバーワンの大ヒットを記録している。
同映画は独裁国家が支配する近未来を舞台に、殺し合いのゲームに参加させられることとなった16歳の少女の活躍を描いた作品だが、米クリスチャンポスト紙ゲストコラムニストのレーン・パーマー氏は、古代ローマのコロッセオ(闘技場)では現実に殺し合いのゲームが行われていたことに言及し、それがまさにオリジナルの「ハンガー・ゲーム」だったと語った。
同氏は、「『ハンガー・ゲーム』の世界では、社会全体が無気力な状態で、単に独裁者の退屈を和らげるためだけに不気味な殺し合いゲームが行われる。しかし、現実では、まさか現代にはそんなことは起こり得ないだろう。・・・・・・本当にそうだろうか」と語り、「『ハンガー・ゲーム』の設定は不自然には見えない。それがそれほど現実的に無理のあるものではないからだ」と述べた。
さらに同氏は、古代ローマのコロッセオでは奴隷や捕虜が剣闘士にされ、血に飢えた民衆は獅子の吠える声を聞きながら、殺し合いが行われることに興奮していた現実があると指摘。「それは映画ではなく、千数百年前の確かな現実だ。ローマ帝国の中にはクリスチャンも存在したが、世界最大の文明都市の中で、徐々に侵食されていったモラルの崩壊によって無関心な状態になっていた」と語った。
「それはオリジナルの『ハンガー・ゲーム』だった」と語った同氏は、内部から道徳的に衰退している文化を変化させる主イエス・キリストを思い起こして団結するのでなければ、人は再びそれを繰り返すだろうと述べている。
5世紀を生きた一人のキリスト教修道士テレマクスはある朝、聖霊によってローマへと導かれていることを感じ、祈りをささげた。ローマの民衆は血に飢えていたが、テレマクスは神を求めることに飢えていた。コロッセオの惨状を目撃した彼は、舞台に飛び込んで制止を呼び掛けたが、興奮に酔いしれた民衆は石を投げて彼を殺した。
テレマクスは殉教したが、それは無駄死にではなかった。彼の死の衝撃は民衆を目覚めさせ、時のローマ皇帝ホノリウスは剣闘士の試合を禁じる布告を出した。
パーマー氏は、「米国の大多数の信仰者はそれと戦うことが極めて困難であるため、暴力を見て見ぬふりし、現状に甘んじている」と指摘。「全てのクリスチャンは聖霊の力を授かっており、自覚していようとなかろうとキリストの証人だ」としたうえで、「あなたはどのような証人だろうか。無気力で霊を眠らせている多くの人うちの一人なのか、それとも世界の果てまでイエスを宣べ伝える準備ができている者なのか。あなたは今日、何に飢えていますか。これはゲームではない」と語った。