3月23日から26日までローマ教皇ベネディクト16世がメキシコを来訪したのを受け、メキシコでは国民が宗教行事を公に祝い、活動する権利を承認する憲法改革案に対する上院議会投票が行われ、上院議会で承認がなされた。AP通信によると、28日のメキシコ上院議会における宗教活動の自由を認める憲法改正案の議会投票結果が、賛成72票、反対35票となった。3月30日、米クリスチャンポスト(CP)が報じた。
今後正式な憲法改革には、メキシコ31州中少なくとも16州の承認が必要となるという。米中央情報局(CIA)のワールドファクトブックによると、メキシコ人口の76.5パーセントはローマカトリック教徒で構成されているが、メキシコ国家としての国教は特に制定されていない。
メキシコは過去にカトリックの権威が国家に介入しないための強い規制が法律によってなされていた。メキシコ政府はカトリック教会に対しいかなる財政的支援も施さず、カトリック教会は公教育に関与せず、公共社会の中での宗教的活動は厳しく取り締まられていた。
1990年代になって徐々に国民の宗教活動に対する規制が解除されるようになっていた。今回上院議会投票が行われたメキシコ憲法改正が実現すれば、公の場で宗教活動ができる権利を国民が享受できるようになるものの、政治活動への宗教関与は今後も禁止されたままとなる見込みであるという。
ローマ教皇が先月メキシコに来訪し、レオン市でカルデロン大統領と会合を行った際、教皇は「人権を脅かし、若者を脅かす破壊的な悪に対し、いかなる手段においても闘い抜かなければなりません。一部のカトリック信徒のみならず、南米においても、世界のどこにおいても個人の倫理と公的社会の倫理の間で統合失調を生じるようになっています。個人としてはカトリックの信仰を持ちながらも、彼らの暮らす社会が福音の価値観に一致しない価値観の中で歩んでいるのですから。ですから私たちはただ単に個人的な倫理観を教えるだけではなく、公的な倫理観も教えられなければなりません。メキシコはホスピタリティのある誇り高い国家です。このような国でいかなる人も疎外感を味わうことはありません。この地にしてそのことを心から感じています」と述べていた。