ローマ教皇ベネディクト16世(84)は26日から三日間の日程でキューバを訪問した。27日にはラウル・カストロ・ルス国家評議会議長(80)と約1時間の会談を行った。病気療養中の同議長の兄であるフィデル・カストロ前議長(85)は会談に出席しなかった。
ベネディクト16世は26日、同国東部サンティアゴデクーバで大規模のミサを捧げ、キューバの守護聖人とされる「カリダデルコブレ聖母像」が発見されてから400年を祝う式典に参加、キューバにおける信仰と希望の刷新および自由の実現のために祈りを捧げた。
ベネディクト16世は「聖母にあなたの国の未来を託しています。すべてのキューバ国民のさらなる益のため、希望と革新の道が発展し、あなたの内なる喜びを何者をも奪い去ることがありませんように。その喜びはキューバの魂を特徴づけるものです」と述べた。
共産主義国であるキューバ到着前に、ベネディクト16世はキューバの一党独裁の政治システムについて「現実社会に合っていない」と非難していた。しかしキューバ政府高官は、ベネディクト16世の発言に迅速に反応し、「キューバは経済改革に解放的であり、政治改革の可能性もあり得る」と答えた。一方キューバ高官のひとりであるマリオ・ムリロ氏は記者らに対し「キューバでは、政治改革は進まないでしょう。キューバでは経済モデルを持続可能な社会主義に合わせられるように革新しているにすぎません」と答えている。
ベネディクト16世のキューバ来訪は今回が初めてで、前回は前教皇のヨハネ・パウロ2世が1998年に初来訪していた。ヨハネ・パウロ2世のキューバ来訪はローマカトリック教会とキューバカストロ政権時代の共産主義国家の間の関係性が改善される歴史的な来訪となり、その後キューバのキリスト教会の存在感が社会的に高まるようになった。