世界福音同盟(WEA)は27日、ウィクリフおよびSILインターナショナル訳による『父なる神』、『神の息子』に関する訳出について、審議を行う独立審査パネルを設置することを発表した。
聖書訳に関しては、原語からそれぞれの現代語への訳出に際し、様々な議論が継続的に生じている。またイスラム教社会での福音伝道の勢いが高まるにつれ、イスラム教社会に受け入れられる聖書の訳出もより強く求められるようになっている。
世界的な聖書翻訳団体であるウィクリフおよびSILインターナショナルは、世界的に信頼と尊敬の置かれている福音主義のグローバル組織であるWEAに対し、聖書の中の『父なる神』、『神の息子』という訳出に関して審議するパネルをWEAが設置するように要請してきた。これを受け、WEAでは年内にも独立審査パネルを正式に設置する予定であるという。
WEA代表のジェフ・タニクリフ博士は、「多くのクリスチャンは神様の御言葉を学び、信仰生活を送るのにヘブル語やギリシア語まで理解しようとはしません。そのためWEAはウィクリフおよびSILインターナショナル訳の『父なる神』、『神の息子』と言う訳出について審議する独立審査パネルを設置することに合意いたしました」と述べた。
ウィクリフグローバル同盟およびSILインターナショナルは、神の言葉を正確に訳出するために組織された団体であり、これまでこの審査パネルの設置をWEAに対し真摯に要請してきた。審査パネルにおいては、訳出について、神学的に許容範囲である訳出や、特にイスラム教社会との関係性において適した訳出の選択、どのように原語に正確に社会的背景に適した訳出をしていけるかを実際にアドバイスすることなどが行われるという。WEAでパネルを設置することによって、透明で独立した審査を行い、世界各国の福音主義神学者、聖書学者、翻訳家、原語学者、伝道学者らの識見を得ることができ、イスラム教社会に住む人々に誤解なく伝わる聖書の訳出が可能となることが期待されている。