同作品は地獄の責め苦や道徳的なメッセージは盛り込んでいないが、未だ苦悩を抱えている信仰者の人生を垣間見せることで観客を魅了しようと試みている。
「私たちは信仰をもつ人々と、信仰から離れ去ってしまった人々(これらの人々は物語の中に自分を見つけるだろう)に、巨大な人口の統計があるという希望を与えたい」とミラー氏は語った。
映画「Blue Like Jazz」は、神とイエス・キリスト、そしてクリスチャン作家の苦悩を強調したミラー氏の半自叙伝である著書の裏側を追っている。
映画に登場するドンという名の若い主人公は、米国にある多くの大学のうちの一つに転校することにより、テキサス州の保守的な宗教教育から逃げ出す。
実際にはミラー氏はリード大学での自身の経験について書いた時、若くはなかった。また彼は家出することもなかったが、21歳で旅行に出て、現在暮らしているオレゴン州ポートランドに辿り着いた。
また映画化するに当たって原作との様々な相違点が生まれたが、それらの大部分は映画の流れに活気を与えるために必要だったという。ミラー氏はこのことを了承し、「(脚本を手掛けた)ベン・ピアソンとスティーヴ・テイラーは本をそのまま映画にすることはできないと理解したんだ」と映画の公式ウェブサイトで語った。
同作品は「成熟したテーマ」のためPG13(13歳未満の鑑賞には保護者の強い同意が必要)になると考えられ、家族向け映画ではないと監督のテイラーは明かした。
「僕たちはこれが家族向け映画になるとは思っていなかったんだ。その理由は単純。どのようにその環境を示さずに『米国で最も不信仰な大学』に注意するヒューストン郊外で南部バプテストの宗教教育を避ける大学生の話を描くのか。そしてそれを家族向け映画として現実的に描写することが果たして可能なのか。R指定とまではいかないが、PG13が妥当な線だろうと」
彼は「聖歌隊に説教する」映画を望まず、また典型的なキリスト教映画にもしたくはなかった。しかしながらミラー氏の著書に書かれている内容を映画にして、人々に問い掛けることを決めた。
「その本は多くの人に重大な影響をもたらしたんだ」と語るテイラーは、映画を通して特に20代や30代の若いクリスチャンに影響を与えることを望んでいる。
映画の資金調達が行き詰まり、制作が無期限に延期された時、同著の2人のファンがsavebluelikejazz.comやkickstarter.comといったウェブサイトで募金を呼び掛けた。彼らの努力が実を結んで、4000人以上のファンたちから合計約35万ドルもの資金が集まり、映画の制作は再開された。
ミラー氏によると、この2人のお蔭で映画は死地を脱したばかりか、一夜にして一面記事に取り上げられるまでになったという。同氏は映画制作に協力してくれた多くの人々に心から感謝した。
最も多くの群衆が出資し数年がかりで制作された映画は公開に向けた最終準備の段階に入っており、テイラーとミラー氏は現在、映画の宣伝で米国の各地を周っている。
映画には、米国HBOのテレビドラマ「トゥルーブラッド」にも出演したマーシャル・アルマンやクレア・ホルト、タニア・レイモンド、ジャスティン・ウェルボーンらが主演する。