世界福音同盟(WEA)は9日、昨年3月11日に生じた東日本大震災で1万5千人以上が死亡し、数千人が行方不明となっている被災地に対し、追悼メッセージを発表した。日本福音同盟(JEA)および災害支援キリスト教団体クラッシュジャパンおよびWEAは東日本大震災から1年を振り返った個人的な証しを共有し合った。
東日本大震災後の復旧活動を通して、さまざまな国内外のキリスト教団体、諸教会が被災地で共に働くようになった。昨年4月初旬にはWEA副代表のゴードン・ショウエル・ロジャース氏が被災地を訪れ、JEA指導者らと会合を行い「津波から3週間が経過し、日本人全員が衝撃を受けていることを感じます。世界福音共同体が一致して被災地への思いを伝えることが、多くの方々にとっての慰めとなります。被災地で実際の必要を把握しようとするにあたって、WEAはクラッシュジャパンと共に世界的な救援・開発支援団体と共にする機会を得ました。また日本の諸教会を力づけるボランティアや資金の提供を支援させていただくことができました」と述べていた。
JEA総主事の品川健一氏は、震災からの1年を振り返り「世界キリスト共同体の継続的な祈りと溢れる支援にとても感謝しています」と述べている。JEA前総主事の稲垣博史氏は「このような大規模の支援活動は、日本の教会史上今までに見たことがありませんでした。そしておそらく日本のキリスト教諸教会は今までになく多くの、これまでクリスチャンと接する機会がほとんどなかった地元の人々と接触する意味深い機会を体験することになりました」と証しした。
またある被災地での支援を行った教会の牧師は、地元の人が「あなたがたがクリスチャンであることを見出しました。他の信仰団体の方が来られた時、彼らは自分の宗教施設をまず掃除し、自分の宗教関係者をまず支援していました。しかしあなたがたクリスチャンは、すべての人に対して支援の手を伸ばしています。キリスト教を信じる人たちだけを支援しているのではなく、そして多くのボランティア団体が去ってしまった後にも、あなたがたクリスチャンは私たちと共にいて、働きを続けておられます」と話したことを伝えた。
震災から半年が経過して、WEA大使のブライアン・スティラー氏がリリー夫人と共に昨年10月9日から17日にかけて被災地を訪問した。スティラー氏は「東北沿岸部を訪問して、被災地で津波による被害で生じたがれきの山の側を歩くとき、そこに圧倒させられるものを感じました。このような悲しみと絶望が溢れる共同体の中心にあって、クリスチャンが、多くの人が今まで出来ると信じてこなかったことを行おうとして遣わされています」と述べていた。
震災から1年が経過した今もなお、被災地では多くの支援を要している。クラッシュジャパン代表のジョナサン・ウィルソン氏は、「震災の生存者の方々の中には、未だ深い心の傷が残っています。外部からはほとんど慰めとなるものがもたらされていない状況です。しかしながら、クリスチャンのボランティアが震災後の被災地での支援を通し、消えることのない希望を伝え続けようとしています。震災後数日後に被災地を訪れ、そして今も被災者と共にいます」と述べている。ブライアン・スティラー氏は「キリスト教共同体が愛と配慮を必要とする人たちの中でその奉仕を力強く行うことができ、それが証しされていることを神様に感謝します。このような証しが今後数年で目に見える形で効果をなしていくでしょう。土壌が準備されました。そして種が根を生やすためのふさわしい場所が見つけられました。今後も注意深い配慮をしながら、父なる神によって確信されている大きな収穫の時が来るために祈ります」と述べた。
WEAは今後も震災後の日本の絆に対する祈りと、日本の諸教会に対する継続的な支援を呼びかけている。