WCCのプレゼンテーションはWCC国際関係委員会(CCIA)と全アフリカ教会評議会(AACC)によって1月28日から2月1日にわたって主催され、参加者らによって「アフリカにおける平和と安全―超教派としての対応」との題目でプレゼンテーションが行われた。
ナイジェリア、スーダン、ソマリア、コンゴおよびジンバブエにおける高まる摩擦や人権の侵害について諸教会指導者らからケーススタディに関するプレゼンテーションがなされた。プレゼンテーションでは、これらの国々で生活する人々がどんなに生活の安全を脅かされる状況にあるのかについて説明がなされ、超教派の諸教会の関わりによる平和と和解の道を模索していく必要性が強調された。
WCCケニアエグゼクティブ委員会委員でAACCのアフリカの角平和構築特別ミッションエキュメニカル協力者のアグネス・アブオム博士は「ソマリアでは数百万人の人々が苦しんでいます。暴力の高まり、ソマリアの南北分断、国際的な勢力の介入等の問題でますます不安定な生活を余儀なくされています。超教派のキリスト教団体がAACCの下で共に長年の間平和構築のために関わってきました。ソマリアの現状おかれている窮地を克服するためにも、今後も超教派による取り組みが必要です」と述べた。
ナイジェリア教会協議会(CCN)代表のイブラヒム・ユスフ牧師は、ナイジェリアの政情不安に関する懸念について「ナイジェリアの人々の生活はこれまでにないほど危険に脅かされている状態にあります。私たちは今現在そのような不安定な情勢下で生活しています。このような暴力や衝突事件の高まる最中にあって、軍部が市民の安全を守ってくれる存在であると見なされています。しかし軍部が過激派の攻撃を受ける標的にもなっており、ナイジェリアではますます暴力が高まっている状況にあります」と述べた。
南部スーダン議会上院議員のジョイ・クワジェ氏は、アフリカの諸教会およびスーダン国民の民主化の動きを支援してきた世界超教派共同体に感謝の意を表し、南部スーダンの直面する治安問題について「昨年7月の独立を果たして以来、外資系企業が南部スーダン国内の富や資源を搾取しようとする動きが高まっています。スーダン国民には平和と安全が必要です。安定した政治によってさまざまな共同体が共存する南部スーダンに調和をもたらしていくことができるようになるでしょう。南部スーダンで生まれ育ち、国外での生活を余儀なくされていた何万人もの人々が南部スーダンに帰国していますが、彼らは南部スーダンの情勢について何も知りません。これらの人々すべての生活の安全が守られるべきです。そのためにも国際共同体が南部スーダンの平和構築のために欠くことのできない役割を果たすと言えるでしょう」と述べた。
ジンバブエのWCC中央委員会委員イタイ・ヌデュゾ氏は、ジンバブエの治安について説明し、「他の問題となっているアフリカ諸国に比べれば比較的穏やかと言えるでしょうが、政治的な衝突が高まっている状態にあります。ジンバブエには確固とした政治的政策と人権の保護の動きが必要です。超教派の諸教会がジンバブエの平和と非暴力、寛容、人権を尊重する文化構築のために支援していく必要があります」と述べた。
AACC代表のアンドレ・カラマガ博士は、平和構築のためにアフリカ諸教会が果たす重大な役割について「アフリカ諸教会がすべてのアフリカ国民の品位を守り、人権を尊重し、それぞれの民族的、宗教的アイデンティティを保護する重要な役割を担っているという事を自覚しなければなりません」と述べ、アフリカ諸教会がアフリカにおける平和構築、人権の尊重のための包括的な超教派によるプログラムを先導していかなければならないとし、「超教派の役割の一部として、AACCは既にジンバブエのための超教派の協力者を任命しています。どうようなイニシアチブとして、アフリカ諸教会がそれぞれの地域で平和を構築していくための支援を行うプログラムを企画しています」と報告した。
スイスジュネーヴにあるスモール・アームズ・サーヴェイディレクターのアンナ・アルバジジ氏はアフリカ国内における小型武器輸送や貿易の反映について「紛争の生じている地域での武器の使用や利用可能性を低めることはアフリカでの平和構築のためにますます重要性を帯びている任務といえます」と述べた。
2月1日から3日にかけてはキガリ市で「トラウマを癒やす」ためのトレーニングセミナーが行われた。WCC健康と癒やしプログラムエグゼクティブのマノ・クリアン博士は、「戦争や後退する政権、人権の濫用は個人や共同体に精神的、感情的な傷を生み出します。このような状況にあって、諸教会は精神的な傷から克服するための霊的な支援を行って行く努力をしなければなりません」と述べた。
次回CCIA会議は6月に中国で行われる予定である。今回の会議の報告書は次回の会議でも協議される予定であるという。