米国キリスト教映画とテレビ委員会によると、明るさと大きな夢の都市ハリウッドは、一般米国人に訴え掛ける方法を見失っているという。一方、クリスチャンは「信仰をもたない人」にあまりにも期待し過ぎているとの主張もある。
同委員会創設者で議長のテッド・ベア氏は声明で、「ハリウッドは神と母国、家族を信じて教会に通っているクリスチャン米国人たちへの対応の仕方を知らない。我々の取った統計では、米国の映画ファンは明確なキリスト教映画や健全なもの、愛国的、保守的、伝統的で道徳的価値のある家族向けの映画を好む傾向にある」と述べた。
映画制作者でメディアコンサルタントのフィル・クック氏は、ハリウッドが「平均的な米国人」が求めているものは何かという重要な部分を反映できていないと指摘した。また、彼は出会ったことのあるスタジオ役員は「政治的自由主義者」で、彼らの多くは医者や弁護士、大学教授だと米クリスチャンポスト紙に語った。
クック氏は、「恐らく最も大きな問題は『なぜ我々は信仰をもたない人に信仰者のような行動を求めるのか」ということだ。なぜ我々はハリウッド映画に我々の価値観が反映されなかったり、作品の内容が好きではなかったりした際、非常にストレスを感じるのだろうか」と問い掛けた。
DOersTVのCEOで牧師のデイビッド・ライト氏は、クリスチャンが信徒に対するように信仰をもたない人に期待すべきではないことに同意し、クリスチャンポスト紙に対して、「ハリウッドは信仰をもたない人たちによって管理されているのだから、我々はその人たちに聖人のような行為を期待することはできない」と語った。
映画の興行成績などを公開しているウェブサイト「ナンバーズ」によると、米国映画界は昨年、一般向け映画で3460万ドルの純利益を上げた一方で、R指定映画での純利益は平均約1080万ドルにとどまったという。また、2009年と10年には、明らかな家族向けの映画が上位にランクインした。
ベア氏は、一般向け映画がR指定映画と同程度の制作費で5倍もの収益を上げたと述べ、「平均的な米国人は、聖書の価値観を備えた娯楽映画を観て、借りて、買いたいと願っている。彼らは善が悪に打ち勝ち、公正と正義が行われるものを観たいのであり、露骨に性的なものや暴力的なものは望んでいないのだ」と説明した。
ライト氏は、「真実の『クリスチャン』はキリスト教をテーマにした映画を渇望している。映画の中に映し出されるものが重要なのではなく、罪や不道徳が映し出されないということが重要なのだ」と述べた。
一方でクック氏は、一般向け映画がR指定映画よりも良い興行成績を上げているというデータは不正確なものだと指摘し、「カーズ」や「トイ・ストーリー」のような大ヒットアニメ映画の存在によって収益が大きく左右されるからだと語った。
バルナ・グループの調査によると、クリスチャンとノンクリスチャンで異なる映画やテレビ番組を観るということは特にないという。この研究結果はキリスト教社会学者のジョージ・バルナ氏による『The Second Coming of the Church』の中で公表されている。また、米国の13歳から17歳の若者の43パーセントがほぼ毎日R指定映画やビデオを観ていることも報告されている。
クック氏は、「我々はしばしば、ハリウッドがビジネスであることを忘れてしまう。映画を観るのを拒否する人や批評家にはほとんど注意を払わないが、興行成績には非常に注意を払う。米国には何百万人という福音主義クリスチャンがいる。ただ関心のある映画を観にいくだけでクリスチャンはハリウッドの未来を変えることができる」と語った。