【CJC=東京】米国のカトリック女子修道会・宣教会に対する「アポストリック・ビジテーション(使徒的巡察)」の最終報告書がバチカン(ローマ教皇庁)に提出された。
使徒巡察を実施者に任命されたマザー・メアリー・クレア・ミレアが調査結果を提出したもの。
マザーは、声明で3年間にわたる調査の完了を発表、「支持と配慮を必要とする懸念が修道生活に見られた」と指摘した。
使徒巡察の実施が発表された時、そのこと自体が論議にさらされた。当時の奉献・使徒的生活会省長官フランク・ロデ枢機卿は、米国の女子修道会・宣教会調査が必要なのは、「修道生活が行われていないことや共同体が消滅しているのを黙認していた」り、「カトリック教会の中にあってキリストと共にある共同体から離れる道を選んだ」ことがあったからだ、と語った。
初期の報告が、反体制的な会の取り締まりを主張したことに対し、著名な修道女が相次いでバチカンの調査に協力する必要はない、と主張するなど激しい反発の声が上がった。2009年から10年に掛けて調査は難航した。
米国出身のジョゼフ・ウィリアム・トビン大司教が同省局長に就任してから風向きが変わった。同局長は米国の指導者たちへ共感のサインを送った。2011年1月に長官に任命されたジョアン・ブラス・ジ・アヴィス大司教も、前任のロデ枢機卿の改革の必要を強調する姿勢とは距離を置いている。
長官は、「かつて取っていた立場」のために失われた信頼を、同省は回復しなければならない、として、トビン局長の発言に沿って、使徒的巡察の報告を受けても、劇的な変革はないだろう、と語っている。