米デラウェア州サセックス郡で、州議会が始まる前に「主の祈り」を唱えることに対して、「宗教的である」と提訴された裁判において、同州地裁で審議が行われている。同地裁弁護士のスコット・シャノン氏は11日、「主の祈り」は必ずしもキリスト者だけに限った祈りとは言えないとの見解を述べた。12日、米クリスチャンポストが報じた。
同氏は米地裁裁レオナルド・スターク判事に対し、「主の祈り」はキリスト教において用いられているものの、「(イエス・キリストは)主の祈りをキリスト教の伝統として行うように定めているわけではありません」と述べた。
さらに同氏は主の祈りの中には「イエス・キリスト」を言及する語句はどこにも含まれておらず、主の祈りの文言は他の信仰にも当てはまるものであり、「すべての人々に対して攻撃的な祈りとはならず、どんな場合でも万人に受け入れられる内容の祈りである」と述べた。
同裁判所によると、主の祈りは1971年以来サセックス郡議会で会議を開催する前の祈りとして用いられてきたという。「政教分離を支持する米国人連合」弁護士のアレックス・ルチェニッツァー氏は、原告側の見解として、同裁判において4人のデラウェア州の住民がサセックス郡の議会を開催するにあたって「主の祈り」を唱えることに対して、「攻撃的である」と感じていることを証言した。ルチェニッツァー氏は「主の祈り」の中の「われらの父よ」という言葉がキリスト教の祈りであることを示唆するものであり、イエス・キリストのことを暗に言及しているものであると反論した。
原告側弁護士はさらに、ノンクリスチャンは「主の祈り」はキリスト教の祈りであると認識していると述べた。そのためデラウェア州の住民の中で議会を開始する際に「主の祈り」を一緒に唱えなかえれば「信者ではない人として排他される可能性がある」と述べた。
シャノン氏は米CPに対し、サセックス郡議会では「主の祈り」は議会開始前に行われる通例のものであると見なしていることを伝えた。米カリフォルニア州サクラメントにあるパシフィック・ジャスティス・インスティテュート代表ブラド・ダカス氏は米CPに対し「議会は法的に会議を開始する前に『主の祈り』を唱えることを認めるべきです。祈りが議会開催前になされるということは、米憲法修正第1条の言論および宗教的行為の自由を保護する権利を脅かすものではありません。議会開始時に個人的に『主の祈り』を唱えるのではなく政府や一都市を代表して行う行為となる場合には、宗教的行為に制限がかけられるというだけす」と述べている。
スターク判事はこの裁判の判決をいつまでに下すかを明らかにしていない。裁判では「主の祈り」の内容について焦点を当てて判事から質疑かかけられているものの、「イエスやアラーを証明するものがないため、この件は難しい一件とならざるを得ないと思います」と述べている。